昔むかし。そう、このお話はガニメデの女王様が宇宙一とうたわれたマフェルの宝玉をお割りになる以前のお話です。
宇宙のはずれの銀河に小さなセレスティンという惑星がありました。空はピンクローズ、海はエメラルドグリーン、島々はミルキーホワイト。花々は金や銀で出来、宝石の実をならす植物が山と生えた、それはそれは美しい星じゃった。
地球人からすれば楽園のような美しい惑星で、そこには一人の女王様がいらっしゃいました。名前はミシェル・セレスティン。ハチミツ色のふわふわした髪に、スミレ色の大きな瞳。背は高く、若干やせ過ぎでしたが、まだ十三歳の女の子でした。
「ばあや?」
彼女は目覚めるとすぐ、枕元で彼女の従者であるばあやを呼びます。
「はい、お嬢様」
ばあやも慣れたもので、眠らず彼女を見守っていたとは思えない柔らかな物腰で立ち上がりました。
「いよいよ私も成人だな」
「そうでございますね」
ばあやは心のそこから嬉しそうな笑みを浮かべ、ミシェルの支度を整えてゆきます。衣装係が呼ばれ、彼女は現女王が愛する鮮やかなローズレッドのドレスを身にまとい、髪にはバラの生花と金で作られた花やパールを散りばめ、高く結い上げてゆきます。
「ミシェル様、本当にお美しゅうなられました」
感慨深げにつぶやくばあやにミシェルは困ったような笑みを浮かべ、
「世辞はよい」
「いえいえ、本心でございます」
「女王陛下にお目にかかるのは久々じゃ」
「陛下もお忙しい方であられますから」
「そうじゃな」
さて、話は少々変わるが、その頃の宇宙には宇宙海賊がはびこっておって。宇宙海賊ザザ、名前を聞いたことくらいあるじゃろう? 無い? くたびれ儲けのザザを聞いたことがない、と? いや、まぁ良い。世の中、移り変わりが激しいからな。
ザザはセレスティンの宝石を狙っておった海賊じゃった。セレスティンは宝石の星。ただし、あまり他の星の人々と付き合おうとはしなかったので、交流がなかったんじゃ。宝石の星であるという噂には尾ひれがつき、ザザのような宇宙海賊が惑星の周囲を牽制しあいながら幾重にも取り囲んでいる物騒な状況でな。軍隊だの、どこかの星の使者だのそんなやつらの船だってその中にはいたさ。だから、住民は知らなかったが、美しさゆえに略奪者たちが目の前に、目の上に渦巻いていたんじゃ。
さて、話を元に戻して。
ミシェルは女王の子ではない。驚いた顔をしなさったな。そうそう、ミシェルは言うなればクローン技術で生まれた女王の跡取りでな。その女王自体もクローン技術で作られたんだと言うんじゃ。元をたどろうとするのは果てのない話じゃ。
女王は城の奥深くで鎮座し、絶対に周囲に姿を見せることがない。だからだろうな、女王は宝石ではないかという噂が流れ始めたのは。世話をするものどもは「美しい女王様」という敬称を述べるだけで、具体的に女王の容姿を形容することもなかったからな。
ザザはその頃、新手の海賊で、小さな宇宙戦艦、宇宙を旅するには小さすぎる、太平洋にヨットで船出するようなものだ。そんな船で乗り付けたんだ。
惑星の女王となるべく育てられたミーシャ。彼女は13歳までは性別がなく、成人するとともに性別が分かれるのだと言う。
女王は代々クローン技術で生み出され、子は産まない。
女王とは名ばかりの、虜囚でしかなかったのだ。
宇宙海賊であるザザはそんな理由は知らず、ただ惑星の宝石を略奪する。宇宙戦艦で惑星に乗りつけ、
「ま、宇宙人だよ」
絶滅した種族の最後の生き残り。
コロニーで彼女を下ろし、ザザは再び宇宙の海へと旅立つ。
執筆時使用ソフト
・TeraPad テキスト書くのに愛用。
・smoopy ちょっと書いたらすぐ閲覧。背景は目に良さげなグリーン。
・FireFox 辞書代わりだが諸刃の剣(笑
企画に沿って書く場合は、大抵、企画ページを背景としながら書いていきます。辞書代わりなので、閉じることはしません。検索結果のページを開きっぱなしにしとくと、本棚の整理しようとしてたのに手にとった本をじっくり読んでしまう――という結果になるので自分への戒めもかねて。
童話風にするか、物語風にするか、それともお年寄りが孫に語りかける風にするか…海賊だか酒場のおっさんが駆け出しの若者に言い聞かせるようにするのもありかなぁ…と迷いながらもガシガシ書いていきます。
お姫様も13歳にするか、17歳にするか…ということで、具体的なことは何一つ決めてない状態。ラスト直前のどんでん返し(というほどのことでもないけれど、いつも何かあっと驚かせるような展開があったほうがいいよな…と考えてますが、今回はというより、今回も何も考えてのでどうするか……
メモに使用したテキストをそのまま使い、しばらく書いて上書き保存→縦書き閲覧ソフトで確認→しばらく書いて上書き保存……という流れを延々繰り返しながら書いていきます。普通は完成原稿まで同じテキストで書いていくので、途中経過のわかるようなもの、最初のネタなどは残りません。