僕の相棒
猫は「にゃー」と鳴く。
決して「おはよう」とは鳴かない。
「こんにちは」とも言いやしない。
「おい、タマ」
両前足を持ち上げて、相棒の顔を覗き込む。
「今日は人間様の言葉をしゃべれ」
散々脅しをかけてみる。
「『コンニチハ』」
「にゃー」
「…僕に猫語をしゃべらせようって魂胆か? 卑怯な、僕はお前の飼い主だぞ」
「ふぎゃー!!」
僕は引っかかれ、一人部屋に取り残される。
今日も失敗か。
頬には見事な赤い筋。
まったく乱暴な。
青い青い海を見る。
窓からの眺めは変わらない。
世界が終わったあの日から。
世界には僕しかいないんだから、
ちょっとくらい しゃべりゃ良いのに。
04/03/25 小説「あの日から」関連。こっちのほうが最初に思いついたネタだけれど、話をこれ以上大きく膨らませることが出来ないので小説化断念。
2008/02/01 構図的には少年と三毛猫。赤白のボーダーTシャツに青い短パンはいた少年が、一面海の中、猫と二人で暮らしているって風景。
©2001-2009 空色惑星