ホラー系なので、苦手な人は読まない方が良いです。
棘々棘々棘々
私は如雨露で花に水をやっていた。
昨日の水遣りをサボってしまったから、花たちはずいぶんしおれてしまっている。たっぷりと多めに水をやらなければいけない。
チクリ―――
左腕に痛みが走る。
見ると黒味がかった緑色の棘が私の腕の中ほどに突き刺さっている。
先ほど真っ赤なミニバラに水をやっていたときに刺さったのだろうか?
私はそれを抜こうとした。
三角形の形をしたその棘は、まるで私の内部から生えてきたかのように、上部に出ていたのは頭だけだった。
チクリ――
皮膚が裂ける痛みがありはしたものの、何とか棘を抜き取ることができた。
ほっとしたのもつかの間、抜いたはずのその皮膚の裂け目には2・3の棘の頭が除いている。
(抜かなければ)
私は怖くなり、腕の痛みなどそっちのけで次から次へ現れる棘を抜いてゆく。ようよう棘を抜ききってしまったころには私の腕は半分無くなり、骨が見え始めていた。
そのグロテスクな腕を目にしてよりも、その棘に対する気持ち悪さ、絶望感に泣きたくなってくる。
――チクリ
右腿に嫌な痛み。
見ると黒い棘。
(抜かなければ……)
思いはするものの、私の心にあるのは絶望感と疲労感。
誰かの声で顔を上げる。
「あいつだ!」
見るとミニバラの根元には見たことの無い棘だらけの幼虫。
「新種の生物だ!」
誰かの叫び声。
その棘だらけの幼虫が身にまとっている、黒味がかった緑色の棘は私の中から沸いてくる棘に良く似ていた。
2003年9月26日 登場人物すっごい久々に私本人。ひたすら気持ち悪い夢でした。幼虫嫌いの私としては、気持ち悪くって気持ち悪くって。
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